上野遺跡 大型掘立柱建物を公開 6回建て替え 集落内の重要施設か 発掘調査いよいよ最終段階
県埋蔵文化財調査事業団はこのほど、村上市朝日地区の「上野(かみの)遺跡」で見つかった特殊な大型掘立柱建物を初めて公開した。
猿沢・桧原地内の高根川右岸の扇状地に広がる上野遺跡は、国道7号朝日温海道路建設に伴い2017年度から発掘調査を実施。縄文時代後期前葉(約4千年前)の大規模な集落跡とみられ、これまで平地建物や竪穴建物といった多様な建物200棟以上、廃棄域3カ所、全国的にも珍しい墓「焼人骨集積土坑」1基など1万2千基以上の遺構のほか、土器や石器など約4700箱が見つかっている。
8年目となる今回の調査では、集落中央に東西8・8㍍、南北6・5㍍もある凸字状の大型の掘立柱建物を検出。西側の4基の柱穴は直径2㍍、深さ1・5㍍と大きいのが特徴で、同じ場所で6回建て替えられたことが明らかになっており、集落における重要な施設であったと考えられる。また建物は方位を意識して建てられており、その延長線上には「焼人骨集積土坑」があり、相互関係を検討している。
同事業団の荒川隆史調査課長は「発掘調査も最終段階に入り、ようやく全貌が分かりつつある。縄文時代後期前葉の集落としては県内最大級の規模で、重要な施設を中心に建物が配置される集落のあり方は当時の社会を知る上で重要な成果。県内外の人たちに広く知ってもらいたい」と話していた。